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この特集では、浅田真央選手、安藤美姫選手をはじめとする注目選手の活躍や最新情報など、フィギュアスケートにまつわる様々なレポートを写真とともにお届けします。
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フィギュアスケート特集

2009NHK杯 男子シングルショートプログラム終了(2)

Brian_3109s_2  まずは今シーズンも不安定ぶり全開で、ロシアでも「このプログラムが完成されたらどんなに美しいか」とたくさんのファンにため息をつかせたジョニー・ウィアー。彼の、パーフェクトの演技だ。ジャンプを3つ決めた後は、その表情で、しなやかな四肢で、氷の上すべてが自分のカンバスだと言わんばかりに、2分40秒の間あますところなく描き続けたジョニー・ワールド。中性的な資質ばかりが注目されがちな彼だが、ほんとうに気持ちの入ったジョニーの滑りは、こんなにも自由で力強い――そんな彼の魅力の本質を、再確認させてくれるようなSPだった。

 さらに続くのは、「佐藤有香コーチのもとに移ったことで、今まで以上に自信を持てた」というジェレミー・アボットの、気持ちのしっかりこもったビートルズナンバー。すらりとした身体を美しく大きく使った動きが、彼の心の波動そのもののように見えるアボットらしいプログラム。そこに散りばめられたのは、飛距離のある安定した3つのジャンプ。決して派手さはないけれど、彼にしか出せない清冽な美しさで、観る者の気持ちを洗い流してくれるような演技だった。

 そして今日の真打ち! といってもいいだろう。元世界チャンピオンブライアン・ジュベールの昨年からもう、何度見たかわからない「RISE」! 飽きられてもおかしくない2シーズン目のプログラムだというのに、「あれが見られる!」と、流れただけでわくわくしてしまう音楽にのって、王者は堂々、4回転-3回転を決めてくれた。
「良くなかったエリック杯後は、4日間しっかりオフを取って、その後毎日、プログラムを滑りこんできました。だから、戦える自信はあったんです」そう言うだけあって、「RISE」は去年の名作のままでは終わらなかった。あれからさらにパワーアップして、ジュベールの身体になじんだプログラムに。おどけた指さしや駆け足からもにじみ出るような味わいがあって、国別対抗戦での活躍以来ずいぶん増えた日本のファンの前で、堂々の復活宣言をしてくれた。

 大躍進の予感や、待ちに待った復活を前に、気負いすぎた者。まとわりつく不安の影を払いのけて、本来の輝きを見せ始めた者。初めての舞台で力を出し切れた者、大舞台の手ごわさを知った者。
 一番滑走の村上大介から最終滑走のジュベールまで、12人の青年たちの心の動きが、ひとつひとつ手に取るように氷上に浮かびあがったNHK杯ショートプログラム。 
 やはり、今年の男子シングルの面白さは本物だ。今夜喝采を浴びた3人を中心に、巻き返しをはかる高橋、小塚。もうひと伸びしたいブレジナ、ボロデュリン、リッポン、村上大介。明日のフリーもまた、すべての選手の演技が見逃せないだろう。こんなに楽しかったショートプログラムの何倍も、フリーはもっと面白いだろう。そしてさらに、オリンピックはもっともっと面白くなるだろう。
 自慢の日本男子たちが活躍できなかったというのに、かえって楽しみも増した今夜。もちろんこの後、大和魂の持ち主たちがこの華麗な戦線に加わっていることを、何よりも信じている。

text/Hirono Aoshima 


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2009NHK杯 男子シングルショートプログラム終了(1)

Koduka3015s  日本期待のふたり――髙橋大輔はステップで大きくつまづき、小塚崇彦もほぼ百発百中だったトリプルアクセルで転倒、順位はそれぞれ、4位と5位。思わぬ展開だというのに、NHK杯男子シングル、こんなに楽しくてたまらないのは、いったいなぜだろう?

 まずひとつは、日本男子二人の失敗が「OK、全然大丈夫!」と言いたくなるほど、この先に不安のない失敗だったから。小塚崇彦は公式練習から明らかに張り切りすぎていて、世界チャンピオンやメダリストたちに交じっても元気いっぱい。「これは崇彦、ものすごく良いか、大コケか、どちらかじゃない?」などと言われるほどだった。昨シーズンはファイナルの表彰台まで登り、今年もプルシェンコのいる試合で2位。もう自分はトップスケーターたちにこうして交じってもおかしくない――そんな自負が小塚崇彦には確かにあっただろうし、見ている私たちにもあった。これだけのメンバーが揃うNHK杯でトップに立って、一気に名乗りを上げるチャンス! 意識はしていなくても、彼の気持ちのどこかにあるそんな思いが、トリプルアクセルを狂わせてしまったのだろう。
「調子が良すぎたからこそ! のミスです。いつもはタイミングなんて考えないのに、余計なことをいろいろ考えてしまった」(小塚崇彦)
 一方の高橋大輔は、見せ場のはずのサーキュラーステップで転倒、一瞬プログラムをとぎらせてしまうという、誰よりも高橋大輔自身が悔しくてしょうがないだろうミス。フィンランディア杯SPの最後のポーズでの転倒といい、なかなか素直に復活を喜ばせてくれない男だ。しかし、ジャンプがどうしても入らないとか、ケガをした足の調子が気になるとか、そういった種類のミスではないのだから、安心だ。
 オリンピックまでの長い道のりの、たったひと試合。ふたりとも大丈夫だよ、たぶんこの後は、うまくいくよ――そんな気持ちになれるから、なんだかちっとも残念だと思えないのだ。

 そしてさらに楽しいのは、世界的なスケーターであるふたりならば、凡ミスでも3位までには入れてしまえそうなグランプリシリーズ。しかしそれは許さないとばかりに、立つべきスケーター3人がしっかり上に立ち、NHK杯でありながら記者会見に誰一人日本人選手がいない、という状況になってしまったことだ。
 高橋、小塚に勝るとも劣らない、3人のワールド&グランプリファイナルメダリストたち。彼らがしっかりと自分たちの実績と実力にあった素晴らしい演技を見せ、一グランプリシリーズを、ミスなどしたら表彰台に立つことなんてできない、そこまでのレベルの高い試合にしてくれたことが、うれしくてたまらない。

text/Hirono Aoshima 


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2009NHK杯 安藤美姫女子シングルショートプログラム2位(2)

Mikinhk09sp_6   ところが――ショートプログラム終了後の共同インタビュー。
「ちょっといろいろなことを考えすぎて、気持ちが入らなかったんです。自分としてはやっぱり3回転-3回転を跳びたかったけれど、NHK杯はファイナルにつながる大事な試合だからと、コーチと相談して3回転-2回転にした。そこにちょっと、迷いがあったんです」

「3回転-3回転を跳ばないことに決めたら、気持ちがエキサイトできなくて……。それでも本番では3-3OKってコーチが言ってくれるかと、どこかで思ってた。けれどやっぱり最後には、3-2でいくことになって……それでちょっと複雑な気持ちのまま、滑ってしまった。演技全体に自分の弱い面が出てしまいましたね」
!!
「自分の表現を大事にしたいと言っても、やっぱりジャンプは必要。……難しいですね。やっぱり両方そろえている選手が勝ちます。自分はどうしてもジャンプの印象が強かったから、あえて今シーズンは自分に欠けているものをジャッジにもアピールしたかった。でも……これからはやっぱり『ジャンプの美姫』ってことにしようかな! だって、『公式練習では3-3が入っていたのに、本番で跳ぼうとしないなんて悔しい』『3-3じゃなきゃ物足りない!』なんて思ってしまったから」
!!!

 もう、ほんとうに安藤美姫は面白い。あれだけきっぱりと宣言した記者会見のあと、ショートプログラム滑走までの間。彼女がどれだけ悩み、葛藤したかと思うと 本当に愛おしい。
 やはり彼女は、いや「彼女たち」は、ジャンプを簡単にあきらめるにはあまりにも多くの練習をしてきてしまった。大事な武器を得るための努力を、あまりにも長い間してきてしまったのだ。
「ジャンプの美姫」「スケートで自分を表現できる美姫」そのはざまで揺れに揺れまくっている今の安藤美姫は、本当に彼女らしいし、あまりにも日本人スケーターらしい。そして、アスリートでありながらアーティストであることも求められる、フィギュアスケーターそのもの。その競技性に悩みつつも成長しようとする者の、美しい姿だと思った。

 オリンピックまであと、3カ月と少し。安藤美姫はどうやら、確固たる信念、揺るがない意思、などとは無縁の、あまりに安藤美姫らしい七転八倒の悩める日々を送りそうだ。でも、「ジャンプも跳びたい」「自分をスケートで見せたい」、ふたつの思いに引き裂かれ、迷いつつ、その過程でどちらも伸ばしていき、22歳にしてもうひとまわり大きく成長しそうな予感もする。
 ひとつ確かに言えることは、これから何百回気持ちが変わっても、そのすべてがいつでも真剣な「ほんとうの美姫」だということ。
 バンクーバーオリンピック本番、彼女はどんな気持ちでスケートに向かい、何が「自分のスケート」だというだろうか。その日の安藤美姫の姿が、彼女の見せてくれるものが、楽しみでたまらない。

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima 


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2009NHK杯 安藤美姫女子シングルショートプログラム2位(1)

 安藤美姫は本当に面白いスケーターだ。いやもう、人間として本当に面白いというしかない。
 これまでも何度か書いてきたことだが、安藤美姫は話を聞くたびに、言うことがころころと変わる。

 絶対に勝ちたい、誰にも負けたくない、と凛々しく宣言することもあれば、スケートは楽しめればそれでいい、と穏やかに微笑むこともある。
 4回転を絶対に跳びたい、と強く決意したかと思えば、難しいジャンプにはこだわらず、表現で自分を出してみたい、ともいう。
 ほんとうに短い間に180度言うことが変わってしまうのだから、こちらは驚かされるばかり。しかし話を聞くほどに思うのは、いつだって彼女は恐ろしいほど真剣だ、ということだ。
 勝つために自分を奮い立たせなければならない状況も、楽しまなければスケートなど続けていけない状況も、真実だった。4回転やトリプル-トリプルを跳べる自分を誇りに思い、技術をキープしようとした努力もほんものだった。
 しかし「4回転ジャンパー」という代名詞ととともに歩んできた彼女が、「ほんとうのスケートとは何か」をモロゾフコーチと話し合い、リスクを伴うチャレンジでプログラムを壊すことなく、スケートで自分を伝える、そのために何をしたらいいかを本気で考えていることを知ったとき。ひょっとしたら彼女の「揺らぎ」も、ここで終わるのかな、と思った。

 日本のトップスケーター、特に女子選手は、まず優秀なジャンパーとしてそのキャリアをスタートさせる。世界でも引けを取らないジャンプ技術で、若くしてトップにまで上り詰め、自分の技術を誇りつつも、すぐにフィギュアスケートがジャンプだけではないことに悩んだりもする。そこから一歩成長するためには、少しだけ自分の一番得意なものへの挑戦、その欲求を抑えることも必要だと気づいて、少し絶望することだってある。現在、トリプルアクセルに悩む浅田真央がまさにその状態だろうし、男子選手が4回転に挑むか挑まないかで葛藤するさまも、彼女たちによく似ている。
 プログラムを美しく完成させることと、誇りであるジャンプに挑むこと、その両立が難しい時。ときには子どものころから時間をかけて培ってきた大きな武器を、リンクの外に置いていかなければならないことだってある。根がアスリートであればあるほどそのときの悩みは深いし、武器が強力であればあるほど、置いていくには勇気がいる。
 だからほんとうは4回転も楽々跳び、最難度のルッツ-ループ3回転-3回転さえものにする安藤美姫が、「NHK杯では難しいジャンプには挑戦しません。その代わり、5コンポーネンツで高い点数の出る演技をしたい」とSP前日の記者会見で口にした時、彼女もついにここまでたどりついたのか、と思った。この決意を本当に美しいものだと思ったし、この揺らぎない気持ちで臨めば、今回のNHK杯はもちろん、オリンピックだって怖くない。悩んで、探して、考え抜いた末に自分の進む道をみつけた今の安藤美姫は、きっと素晴らしいスケートを見せてくれる。そんな確信があった。

photo/Sunao Noto   text/Hirono Aoshima 


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2009 マイ・フィギュアスケート・オブ・ザ・イヤー発表 (2)

Doi_1009s●カムバック・オブ・ザ・イヤー   村主章枝選手

「世界一競争の激しいと思われる日本での世界選手権代表への復帰は本当にすごいと思います。」(pao)

「村主選手もここ数年なかなか結果が出ずに苦しんでいたと思います。特にジャンプの精度が落ちてきていた昨年までとは違い全てにおいて全盛期の村主選手を彷彿させる素晴らしい演技を何度も見られたと思いました。」(ピンキーブウ)

「トリノオリンピック後、低迷していた村主選手。年齢のこともありここまでかと思っていましたが見事な復活で世界選手権代表に返り咲いたことは驚きでした。既に結果を残してきているのに向上心を忘れず、諦めず努力し続けているその姿勢は賞賛に値します。
」(みっちい)


●何度も見てしまう演技・オブ・ザ・イヤー  全日本選手権、小塚崇彦選手 FP 『ロミオとジュリエット』の演技

「今シーズンは小塚選手の飛躍の年でしたが中でも全日本のロミオは素晴らしかった。テレビ観戦でしたが録画したのを今でも何度も見てしまいます。ノーミスではなくても人の心を打つ、そんな演技をオリンピックシーズンにまた見たいと思います!」(mo_mo)


●日本の振付師・オブ・ザ・イヤー   宮本賢二さん

「高橋選手の「Eye」、鈴木選手の「黒い瞳」「リベルタンゴ」など、選曲や曲の編集のセンスのよさ、振付の素晴らしさなど。日本でもやっと世界に匹敵する素晴らしい振付師が出てきてうれしいです。近いうちに海外のトップ選手が「日本のミヤモトにプログラムを作ってもらいたい」と言ってくれる日がくると思います。」(匿名希望)

「安藤美姫選手のボレロや浅田舞選手のシェルブールの雨傘。鈴木明子選手のリベル・タンゴ。とにかく各々の選手の特性を生かした素晴らしい振付。」(cathe)

「鈴木明子選手や安藤美姫選手のEXなどを見て、日本発の、世界に誇る振付師になってくれるのではないかと期待しています。高橋大輔選手のSP、来年どうなるか分かりませんが、ショーでも良いのでぜひまた演じて欲しいです。」(末摘花)


●台風の目・オブ・ザ・イヤー  デニス・テン選手

「世界選手権で色々な国が五輪出場枠争いをする中、初出場で8位に食い込み、出場枠争いの台風の目になったと思います。」(けーちゃん。)


●ハートウォーミング・オブ・ザ・イヤー  キャンディス・ディディエ 選手

「ジャンプの着氷に失敗し、フェンスに激突したのにもかかわらず、最後まで滑りきった精神力に脱帽です。そして温かく声援を送った会場の人々にも感動しました。
五輪の枠がかかっていた試合だけに、彼女はムリをしたんじゃないかと心配ではありますが彼女もフランス代表として、これからも頑張ってほしいです。」(みかん)


●Kiss on ice・オブ・ザ・イヤー  THE ICEでのジェフリーバトルさんから真央選手へのサプライズキス!

「初めてこの映像を見たとき一人で大興奮してしまい、それはもう大騒ぎでしたので(笑)」(ミキ)


●おつかれさま・オブ・ザ・イヤー   太田由希奈選手

「引退の一報を聞いたときには思わず耳を疑いました。昨シーズンの滑りが素晴らしかったし、今年もまた全日本で素敵な演技を見せてくれると思っていたから。しかし度重なるケガや滑れない苦しみ、元世界ジュニア女王としてのプレッシャー…きっと、多くのものが彼女を苦しめていたことでしょう。
 久々に「プリンスアイスワールド」のリンクで観た由希奈ちゃんの演技は、一点の曇りもない、魂を解放し観客を優しく包み込むような滑りでした。どうぞプロとして、スケートを楽しみながら滑ってください。今までたくさんのものを、本当にありがとう。」(ともすけ)

「怪我さえなければ本来なら世界の頂点にいるはずの人。現役引退を決意して、新しい一歩を踏み出した彼女のサカスでの活躍に一票!」(薔薇)


●プロスケーター・オブ・ザ・イヤー   荒川静香さん

「プロ転向されてから3年になりますが、ますますスケーティングと表現力には磨きがかかって来たように見えました。また彼女の演技を観るためにスケートリンクに足を運びたくなりました。また、日本のフィギュアスケート発展のためにも努力されている姿も尊敬出来ます。」(あるばろ)

「プロになってからも体重が増えるどころかさらにほっそりとされ美しさを増し、技術にも磨きをかけておられる荒川さんは本当に素晴らしいです。自らデザインするという衣装もすごく素敵です。」(Shippo)

「彼女の出演する全てのアイスショーで彼女はまさに女王として君臨していた。オーラだけでなく技術も引退してからさらに磨かれたようで一番美しかった。まさにクイーン。日本人選手全員に対する愛情を強く感じる解説も今年は本当に良かった。ジャッジに対する憤りに触れたインタビューも読ませてもらったが、大変興味深かった。こういう実力と名声を兼ね揃えた方がフィギュア界を変えてもらいたい。」(bell)


●セイブ・リンク・オブ・ザ・イヤー  倉敷のスケートリンクの存続を願う会

「全国でリンクが減少する中、リンク存続のために活動、連盟の自主運営を行い、存続という結果を出した。多くのリンクで抱えている存続問題に対して一つの答えを出したこと、存続のために関係者や連盟が力を尽くしたことは称賛に値する。」(レイバック)


*写真はDream On Ice 2009の太田由希奈


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